浅草サンバカーニバルを見てみよう

北半球最大のサンバカーニバルである浅草サンバ。その魅力はどこにあるのでしょうか?このページでは、参加チームの表現を入り口に、関連するブラジル文化を紹介します。
まずはS1リーグ優勝チームの ヂスフィーレ / Desfile を見てみましょう。迫力満点のパフォーマンスが楽しめます。

1. 2013年 S1優勝 ウニアン 『バグズカーニバル』

それぞれのアーラはなんの虫を表現しているのだろうかと、クイズのような感覚で楽しめる、華やかなヂスフィーレ。先頭集団の コミッサォン・ヂ・フレンチ / Comissão de frente はてんとう虫。傘を使った表現がシンプルだけど効果的ですね。もしかしたら、Frevoを意識しているかもしれません。

Frevo (フレーヴォ)

ブラジル北東部ペルナンブーコ州発祥の音楽&ダンスで、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。アップテンポな音楽とともに、小さな傘を持って踊るのが特徴的です。


2. 2015年 S1優勝 サウーヂ 『“ありがとう、サンバ!” ~愛するすべての人に感謝を~』

最初に出てくる山車( アブリ・アーラ / Abre alas )には、ブラジル・リオの老舗 エスコーラ / Escola 、Mangueira にゆかりのある歌手 Nelson Cavaquinho や Cartola, Chico Buarque の巨大人形が座ってます。サウーヂは Yokohamangueira を自称し、Mangueiraに深いリスペクトを捧げています。

Mangueira (マンゲイラ)ゆかりのアーティストたち

Nelson Cavaquinho (ネウソン・カヴァキーニョ)

カヴァキーニョでキャリアを始めたから、ネウソン・カヴァキーニョ。
動画では、ギターで Folhas Secas (枯葉) を弾き語っています。歌詞にマンゲイラへの思いがこもってますね。

中央 Cartola (カルトーラ)

建設現場のお仕事中、頭を守るために帽子をかぶっていたから、カルトーラ(シルクハット)。
動画ではCartolaにギターの基本を教えた父親と40年ぶりに再会し、父親からのリクエストで O Mundo É um Moinho (愛する娘に人生のままならなさを伝える曲)を弾き語りしています。

Chico Buarque (シコ・ブアルキ)

当時まだ20代前半であろう Chico の色気がすごい!
Quem Te Viu, Quem Te Vê はサンバチームをめぐる恋の歌。

Noite dos Mascarados は仮面をつけたカーニバルでの恋のお話ですね。
色っぽく絡み合うデュエットに、4人の男声コーラスとオニオオハシ。絵面がとってもシュール。


3. 2010年 S1優勝 サウーヂ 『“サウーヂは愛を歌う!” ~サンバの鼓動を響かせ、愛の奇跡を生み出す~』

サウーヂは バイアーナ / Baianas のサイオッチ(スカート)が大きい!動くだけで迫力があります。
そして終盤には、衝撃の”ベッド”アーラが…!!!

バイーア出身のアーティスト

もともと首都が置かれていたバイーアには、海を渡って連れてこられたアフリカ人奴隷が流入し、アフリカ由来の文化・風俗がブラジルの文化にも大きな影響を与えました。 19世紀末のリオ・デ・ジャネイロに住んでいたバイーア出身の黒人女性たちがサンバの誕生に大きな役割を果たしたことに敬意を払い、ブラジルのサンバカーニバルでは、バイアーナのアーラを設けることが必須となっています。

Dorival Caymmi (ドリヴァウ・カイーミ)

バイーアの海、めっちゃ綺麗です。
ドリヴァウの楽曲には、故郷バイーアの自然、海、漁師、日常生活を描いたものが多いです。 リオのサンバと同じ2拍子ですが、刻み方にはバイーアらしいニュアンスが表れています。

Gilberto Gil & Caetano Veloso (ジルベルト・ジル / カエターノ・ヴェローゾ)

トロピカリア と呼ばれる芸術運動を率いた二人。ビートルズが好きな人にもおすすめ。

Ivete Sangalo (イヴェッチ・サンガーロ)

Axé (アシェー)のバンドで、ボーカルとして1993年にデビュー。歌って踊って、めちゃくちゃパワフル! バイーアのカーニバルでは、動画のように有名歌手とバンドを載せた巨大トラックが街を練り歩きます。

Armandinho Macedo (アルマンヂーニョ・マセード)

バイーアのカーニバル・スタイルから生まれた、小型のエレキギター ギターハ・バイアーナ の第一人者。 動画の演奏は、ロックとフレーヴォからの影響を色濃く感じさせますね。

2025年7月開催の ブラジルフェスティバル では、大トリを務めるべく来日するので、ぜひ観に行こう!


4. 2018年 S2準優勝 アハスタォン 『リモコン』

近年コンペ的には成績が振るわないものの、無理せず楽しく取り組んでいる雰囲気が好印象のアハスタォン。比較的少人数でシンプルな アーラ / Ala 編成ながらも、 エンヘード / Enredo がしっかり伝わる高コスパな表現に成功しています。
楽曲でも、スロー、巻き戻し、一時停止とリモコンらしいギミックをしっかり表現していてユニーク。それでいて「アハスタォンは止められナイ」とロックなメッセージ性も込めちゃうのがニクいところ。


5. 2018年 S1優勝 バルバロス 『サンバの国ブラジル ~パウリーニョ・ダ・ヴィオラの軌跡~』

サンバの貴公子、Paulinho da Viola (パウリーニョ・ダ・ヴィオラ)を讃えるという抽象的なテーマで優勝。 3:00あたりから登場する ラパの水道橋 ひとつ分くらいの大道具であれば、(多少の工夫は必要になるが)S2リーグでも出せなくはない。
Paulinhoがブラジル・リオのエスコーラ Portela 出身であることから、Portelaの プレジデンチ / Presidente カザウ / Casal が来日し、ヂスフィーレに加わりました.

Paulinho da Viola (パウリーニョ・ダ・ヴィオラ)

リオのサンバ・ショーロの正統後継者、というべき存在。ギターもカバコもお手のもの。 Argumento はサンバの変化を受け入れつつも、そのルーツと本質は守りたいというメッセージが込められた曲。